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第1部 本

生活

図解入門 現場で役立つ建築図面の基本と実際(渋田雄一)

『図解入門 現場で役立つ建築図面の基本と実際 (How-nual図解入門Visual Text Book)』 2018/10/27
渋田雄一 (著), 石井正博 (イラスト)


(感想)
 建築図面の内容を理解するための基本的なルールを、実際に設計された住宅を使って解説してくれる本です。
『図解入門 現場で役立つ建築図面の基本と実際』というタイトルだったので、専門家向けの本なんだろうなーとあまり期待せずに読んでみたのですが(汗)、意外にも一般人にも分かりやすい内容で驚きました。内容は次の通りです。
Chapter 1 建築図面の考え方
Chapter 2 建築図面の基本
Chapter 3 建築図面の役割
Chapter 4 ときどき電車の見える家 建築図面
Chapter 5 独立した二世帯が集う家 建築図面
Chapter 6 ミカンの木の育つ二世帯住宅 建築図面
Chapter 7 建物の外観を表す図面
Chapter 8 断面図 建物を垂直に切断して表現する図面
Chapter 9 建物の高さを表す図面
Chapter 10 建物の各部分を表す図面
Chapter 11 建物の詳細を表す図面
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Chapter 1~3までは「建築図面」の基本(用語、書き方や役割など)に関する解説。
「平面図(各室の間取り、用途、床面積がわかるようにした図面)」って、各階の床から1,500㎜の高さ(およそ目線の高さ)で切断して見下ろして書いたものだったんですね。へー、高さがちゃんと合理的に決められていたんだ……というような図面の書き方説明があるだけでなく、各部のアイデアとして、例えば「玄関」については、「搬入する最大のもの(冷蔵庫など)を想定した開口及び建具寸法とすることが必要です」などの考慮すべきポイントも書いてあるので、これから家を建てたいと考えている一般の人にとっても、すごく参考になると思います。
 さらにChapter 4~6では、3パターンの住宅の実例を、詳細な建築図面とともに説明してくれます。この3パターンの住宅は、都市型住宅(マリンスポーツの趣味に合わせた住宅)、自然豊かな敷地の二世帯住宅(音楽室&図書スペース、工房つき)、変形敷地の二世帯住宅と、すべてタイプが違う住宅で、それぞれの建築図面の内容や、設計上の工夫を説明してくれます。それぞれ住む人の生活や趣味のことをよく考えた設計になっていて、こんな家に住んでみたいなーと思わされました。
 そしてChapter 7~11では、さまざまな方向から見た図面、建物の各部分を表す図面とともに、「屋根」「天井」「階段」などについて、どのようなことを考慮すべきかについても教えてくれます。
 例えば断熱材については、「日本は南北に長いため地域により断熱材の仕様の基準が定められています。現在の省エネルギーの基準(平成25年改正)では、8つの地域区分に分かれており、各地域で必要な断熱材の種類、厚さが定められています」なのだとか。
 また階段については、「階段には途中で向きが180度変わる折り返し階段、90度向きのかわるL型階段、向きを変えない直階段などがあります。万が一階段で足を踏み外しても、途中で止まる折り返し階段が最もおすすめです」ということが書いてありました。なるほど……家は幼い子どもから高齢者まで、いろんな人が住むものだから、階段は「足を踏み外す」可能性も考えた方がいいですよね。長生きすれば、みんな、いつかは高齢者になるのだし……。
 この本はおそらく専門家向けに書かれているのだと思いますが、いつかは自分の家を建てたいと考えている一般の人にとっても、すごく参考になる情報が満載です。実際の建築図面を例にして、かなり詳細な説明をしてくれるので、自分の家を建てるときのアイデアとしても使えると思いますし、自分の家の図面を見るときの基礎知識もつきます。
 ……とは言いながらも、私自身は「家」にあまりこだわりはないので、ごく一般的なハウスメーカーの家で十分だと思っているんですけどね(笑)この本に出ているような「建築士とつくる家」は、「建築士の選び方」がかなり難しいと思いますし……。それでも、この本に出ている「住む人の趣味に合わせた家」があまりにも素敵なので、そのアイデアをどこかに活かせたらと思わされました。家を購入する(建てる)ことを考えている方にとっては、読んで損はない本です。ぜひ一読してみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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