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第1部 本

ビジネス・経営

なんとか会社を変えてやろう 実践ガイド・企業風土改革の進め方(柴田昌治)

『なんとか会社を変えてやろう 実践ガイド・企業風土改革の進め方』2004/1/7
柴田 昌治 (著)


(感想)
 会社の変革のために何から始めればよいのか……ベストセラーとなった『なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革』の続編で、前著のストーリーだけでは十分に解説できなかった要点を、分かりやすく解説してくれる本です。
 その要点は、「問題を見えやすくする」、「感度の悪い上司をなんとかする」、「鍵となるのはトップの求心力」、「キーマンに求められる課題発見能力」、「情報の流れ方と質を変える」「気楽にまじめな話をする場づくりが大切」などなど。今回はストーリー仕立てではなく、普通のビジネス書の形で会社の変え方を教えてくれます。
「会社を変えるには「問題を見えやすくする」こと、それが改革のキー」なのだそうです。そして、「本当に「なぜ会社は変われないのか」と問われたとき、「自分も問題を抱えた(問題の一端を担う)当人かもしれない」と考える人は少ないのです」なのだとか……確かに(汗)。そこで柴田さんは、会社の風土的・構造的な問題の解決の方向にみんなのエネルギーを集中させるためのバックアップシステムとして、「気楽にまじめな話をする」という方策を強調しているのだそうです。
 会社を変えていくプロセスには、次の段階があるそうです。
1)相談し合える関係づくり(土壌の耕し)
2)理念、ビジョン、方針(太陽)→戦略、業務改革の具体案(種子まき)
3)意思決定の仕方を変える(水・肥料)→成果(果実)
 つまり最終的な成果を得るためには、まず「1 土壌の耕し」から始めなければなりません。そのための方法の一つが、「気楽にまじめな話をする(オフサイトミーティング)」で、人数は10~15人が適切、場所は社外(慣れるまでは、会社を離れることも、考える以上に重要なファクターになのだとか)が良いそうです。そしてオフサイトミーティング初日は、各自の自己紹介から始めるそうで、なんと平均30分以上も話すのだとか! かなり非効率的のような気がしますが、実はこれが最も効果的なようです。
「聞き合う中で、仲間意識が芽生え信頼関係が築かれていく。そこから、さまざまな知恵が生み出されてくるのである。」
 ……気楽にまじめな話をする関係を醸成するためには、やっぱりお互いの性格や状況を理解し合うことも必要なのでしょう。
 そして、最も大事だと感じたのは、「オフサイトミーティングをやる際は、事前の準備とともに、必ず世話人による事後のフォローが必要」という話。オフサイトミーティングをやることで「本気になってもほとんどの人は、このままでは「実行モード」には移行しない。」のだとか。確かに……いざ何か実行しようと思っても、今まで通りの自分の仕事もあるでしょうし、「変革」というのにはさまざまな障害があるのが容易に予想できるので、「変えたい」気持ちが芽生えたとしても、現実には「いい時期がきたら考えよう」と先送りしがちですよね。だから組織を変えるための「オフサイトミーティング」を始める時には、その後、どう変革(実行)につなげていくかについても、考えておかないと、せっかくのミーティングが無駄になってしまうと思います。
 この本には、他にも、責任を見えやすくする自律分散体制や、コミュニケーションが円滑に進むような仕組み作り、そして責任の明確な意思決定ルール(衆知を集めて一人で決める)など、企業風土を改革する上で参考になるヒントや事例もいくつか紹介されています。自分の会社には問題があるという危機感を抱いている方は、ぜひ読んでみてください。
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 柴田さんの他の本、『なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革』に関する記事もごらんください。
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 柴田さんは、他にも『究極のV字回復シナリオ どこまで墜ちた企業を救えるのか』、『考え抜く社員を増やせ!―変化に追われるリーダーのための本』、『トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか』などの本を出しています。

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