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第1部 本
ビジネス・その他
10年後に食える仕事、食えない仕事
『10年後に食える仕事、食えない仕事』2012/2/3
渡邉 正裕 (著)
(感想)
今後の仕事(労働)状況がどうなっていくかを予測し、警告してくれる本です。
「これからの経済はグローバル化」する、などという概念的なレベルの問題ではなく、外国に仕事を奪われていく、日本に入ってくる外国人に仕事を奪われていくという傾向が続くのは間違いないので、それに対応して自分のキャリアを考えてみようという現実的な警告です(汗)。正直に言って、かなり気楽な気分で読み始めたのに……読み始めてすぐに背筋が凍りました。下手なホラー小説より怖いのです! これは2012年に発行された本ですが、2016年現在、この本の予測通りに労働界が推移していることは、身近なスーパーマーケットやファミレスで、外国人労働者がレジや接客をしているのが普通になっている状況を見れば一目瞭然でしょう。
現実的に、ユニクロやパナソニックといった超一流企業は、新卒採用の8割がたを外国人にしているそうです。国内市場が縮小しつつある現在、今後は海外向けに仕事をしていく方が伸びていけることは確実なので、このような人事施策は合理的なのだと思いますが……これから就職する方は、外国の方と就職枠を争っていかなければならないので大変だなあと心配になります(汗)。
しかも外国人労働者が日本に入ってきているだけでなく、コールセンターやソフトウェア開発などの仕事の海外移転も拡大しているそうです。
……えええ、じゃあ、どうしたら? と焦りました。それに対して著者の渡邉さんは、「実際には、グローバル化がいくら進もうが、日本人の仕事として日本に残る仕事は、必ず残り続ける」と言います。「だから、自分がどの領域で稼ぐのかを考え、仕事を選び、能力を高めていかねばならない。本書はその航路図となるものを目指して執筆した」……と。
この本では、仕事や職を「重力の世界」、「無国籍ジャングル」、「ジャパンプレミアム」、「グローカル」の4つに分類しています。
「重力の世界」は、日本メリットもなく職業的付加価値も少ない「重力のように収斂されるエリア」で、単純作業を行うエリア。外国人労働者との争いが最も熾烈になります。ここには、プログラマーや組立工、清掃人などが含まれます。
「無国籍ジャングル」は、知的集約的ですが日本人メリットのないエリアで、「世界中の人がライバル」になります。超優秀な才能が求められます。芸術家や建築家などが含まれます。
「ジャパンプレミアム」は、日本人メリットを活かせる技能集約的エリアで、「日本人らしさで生き抜く」ことが出来ます。ホテルマン、ケアマネージャ、保育士などが含まれます。
「グローカル」は、日本人メリットと高い職業的付加価値の両方を活かせる「日本市場のプロとして」生きるエリア。政治家や医師、コンサルタントや弁護士などが含まれます。
この4分野のうち「重力の世界」が最も危険なエリアだそうで、ここに属している方は、日本メリットを活かせる「ジャパンプレミアム」や「グローカル」への転職を検討した方が良さそうです(汗)。
ところで2016年の現在、将来の職をおびやかすのは、外国人労働者だけではなくなってきているように思えます。例えば「グローカル」に含まれると思われる「会計士」や「薬剤師」のような「豊富な知識が必要」で「厳格なルール」のある職業は、今後は、コンピューターとの競争が生まれてきそうな気がします。そのような職業についている方は、現在はまだ、「コンピューターで知識を検索できて、仕事が楽になっている」と感じているだけではないかと思いますが……コンピューターがビッグデータを活用してディープラーニングしてくると、一番早く脅かされる分野のような気が……。
いろいろ考えると将来が不安になってしまいますが、では、どうすればいいのか?の判断も難しいと思います(汗)。……とても怖い本ですが、ぜひ一度、読んでみてください。
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渡邉さんは、他にも『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る』などの本を出しています。
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別の作家の本ですが、『あと20年でなくなる50の仕事』、『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』、『不透明な10年後を見据えて、それでも投資する人が手に入れるもの』など、今後の働き方、稼ぎ方を考える上で参考になる本は、他にも多数あります。
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