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第1部 本

 IT

ハッカーズ
その侵入の手口 奴らは常識の斜め上を行く

『ハッカーズ その侵入の手口 奴らは常識の斜め上を行く』
2006/9/21
ケビン・ミトニック (著), ウィリアム・サイモン (著), 峯村 利哉 (翻訳)


(感想)
 伝説のハッカーとして全米を震撼させたケビン・ミトニックさんが、ハッカーたちの考え方や努力の仕方を紹介してくれる本です(笑)。2006発行の古い本なので、技術的にはあまり参考にはならないと思いますが、ハッカーたちの「斜め上」の努力っぷりに驚かされます。
 この本は実在のハッカーたちへのインタビューを元にした短い物語集として構成されていて、エンターテインメントとしても楽しめるよう(?)分かりやすい文章で書かれていますので、コンピュータについての深い知識があまりない方でも読み進められると思います。
 自分のものではないコンピュータなどの機械に勝手にアクセスして動作させることは犯罪行為で、ましてやそれで利益を得るなんて……と眉をひそめてしまいますが、この本に出て来るハッカーたちは、とにかく努力家ぞろい。大企業のコンピュータに侵入し、従業員への研修マニュアルや取扱い説明書を見つけると大喜びで読みふける……なんて部分を読むと、すべての従業員がそれぐらいの熱意で探して読んでくれればな……と、ふと思ったりして(笑)。
 いや笑いごとではありません。この本に出て来るハッカーたちは、その知力、熱意、創意工夫を正しい方向に使ってくれれば、どれだけ世の中を良い方向に導けるだろうかと悲しくなるような方々ばかり(涙)。もちろん著者のミトニックさんと同じように、現在ではセキュリティ会社で、正しい方向に活用してくれている方もいるようですが……。
 油断大敵です。
 とくに心が寒くなったのは、10章の「いまだに通用するソーシャル・エンジニアリング」で、人の親切につけこむ欺術。騙されて手を貸してしまった心温かい人々が、クビになっていないといいな……と心から思ってしまいました。
 油断大敵です(大事なことなので二度言いました)。
 最後の長い謝辞で、ミトニックさんが両親や周囲の人々にお礼を言いまくっている様子を見て、(どうしてこんなに周囲の人々に恵まれて育ってきたはずの人が、悪行に堕ちてしまったのだろう? なにが彼を駆り立てたのか?)と、またまた心が寒くなりました。
 功名心? ただのいたずらのエスカレート? 征服欲? それとも社会への不満なのでしょうか。(もっとも、彼はもともと悪人ではなかったのだろうとは思いますが……。)
 いずれにせよ、世の中にいるのは良い人ばかりではないという事実に、目を背けてはいられません。「彼(敵)を知り己を知れば百戦あやうからず」です。努力家のハッカーたちに負けないよう、セキュリティには気をつけましょう☆
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 ミトニックさんは、他にも『欺術(ぎじゅつ)―史上最強のハッカーが明かす禁断の技法』などのとても参考になる本を出しています。
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 別の作家の本ですが、ハッキングやソーシャル・エンジニアリングについての、より新しい入門書には、『ハッカーの学校』、『ハッカーの手口 ソーシャルからサイバー攻撃まで』、『ソーシャル・エンジニアリング』などもあります。
 技術的な面に興味がある方には、『リバースエンジニアリングバイブル ~コード再創造の美学~』、『たのしいバイナリの歩き方』も参考になるでしょう。
 そして『テイクダウン―若き天才日本人学者vs超大物ハッカー』、『FBIが恐れた伝説のハッカー』は、著者のミトニックさんと、FBIやコンピュータ・セキュリティの専門家、下村努さんとの闘いを描いた本です(どちらも上下二巻の構成ですが、以下の商品リンクでは、紹介スペースの都合上、<上>巻のみを紹介しています)。

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