ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

しかけ絵本(日本の作家)

ぼくらが東京タワーに憧れたころ

『ぼくらが東京タワーに憧れたころ』2010/1
毛利フジオ (著, イラスト), 高橋洋一(構成) (監修)


(感想)
 東京タワーが出来た頃の昭和30年代の東京がモチーフになった、ノスタルジックなしかけ絵本。立ち上がった仕掛けは、裏からみることもできるパノラマ形式になっています。ページが進むにつれ東京タワーの建設が進んでいき、最後には完成した東京タワーが、どん☆と立ちます。
 サブダさんやラインハートさんの「どうだ!」と言わんばかりの物量・技巧満載の、しかけ絵本に慣れていると、この絵本のしかけは、すごく「ちゃちい」と思いがちですが、実はわざとそう作っているのだと思います。なんだか全体に、昔の少年少女向け雑誌のおまけについていたペーパークラフト感がするのです。
 「飛び出す聞こえるパノラマブック」だけあって、『月光仮面は誰でしょう』などの主題歌を聞くことも出来るのですが、さすがは日本製、オン・オフのボタン付で、電池も手に入れやすい単四2本という親切設計。この音声モジュールは本の右下に独立した箱としてついているので、どのページを開いたときでも、好きなタイミングで好きな音を選べて、5種類の主題歌と、5種類の音風景(物売り、乗り物など)の合計10種類の音が聞けます。(ただ……物売りの音などがあるのに、そのイラストが絵本の中に描かれていないことがあるのが少し残念です。)なお、主題歌は、『月光仮面は誰でしょう』、『チロリン村とくるみの木』、『少年探偵団のうた』、『がんばれ!赤胴鈴之助』、『少年ケニヤの歌』です。
 親子で読むと、お父さんお母さん、お祖父さんお祖母さんの昔話などをするきっかけが自然に作れて、家族の対話が進むのではないでしょうか☆

・1~2ページ目:休みの朝の茶の間。ふすまの模様や箪笥もノスタルジック。
・3~4ページ目:空き地の紙芝居。公園の地面に懐かしい遊びの落書きもあります。
・5~6ページ目:駄菓子屋さん。自転車で配達するお蕎麦屋さんもいます。
・7~8ページ目:勝鬨橋と打ち上げ花火。勝鬨橋を開閉する仕組みがあり、これには読者が多少手を加えてあげなければならないのですが、その手作り感がまた、昭和30年代風です。このページは楽しくなるほど、懐かしの児童玩具っぽいです。
・9~10ページ目:完成した東京タワーと年末の繁華街。都電が走り、デパートの屋上には小さな遊園地があります。
   *   *   *
 同じ作者の本ではありませんが、音を使ったしかけ絵本には、他にも『音と光のでる絵本 じどうしゃ』、『しんごうピカピカ!―こうつうルールがわかるよ!』、『しんごうピカピカサイレンピーポー』など面白いものがいろいろあります。
 また東京タワーの機能を引き継いだ東京スカイツリーの図解絵本『図解絵本 東京スカイツリー』もあります。この作者のモリナガ・ヨウさんは、精密で迫力の構図を得意とするイラストレーターで、充実した内容の本です。モリナガ・ヨウさんには、他にも人気の本、『東京右往左往』、『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!』、『ジェット機と空港・管制塔』、『ワールドタンクミュージアム図鑑』などもあります。

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